第11章 十一朝
鎖羅は快楽による涙でぼやける視界を拭い、自身の真上にいるトビの顔を見つめる。
伏せられた目がたまに閉じて、長く息を吐く。その少しの変化に蠢く傷跡が色気を醸し出していた。
「……ん」
私の視線に気づいたトビさんとばっちり目が合ってしまった。目尻がツンと上がっているけど少しだけ熱に蕩かされたようにぼんやりとしている。暗闇の中なのに妙な力強さも感じられる。
トビは一旦腰の動きを止め、視線が合った途端に閉じてしまった愛しい人の瞼にキスを落とす。
「どうしたんスか?気持ちくない?」
鎖羅の頬に張り付いた髪を梳いて耳にかける。
「い、いや……!そんなことないです、気持ちいいです……!」
ハッ、と我に返り鎖羅は口を手で覆った。
「セ〜ンパイ、気持ちいいんだ?」
「あ、っちが、そ、その」
「気持ちかったらもっと言ってもいいですよ」
ぐちゅ、とナカを刺激され鎖羅は頭を仰け反らせた。しかし、なんとか快感に流される前にトビの腕を軽く叩いて制止する。
「ん?」
「あ、あの……さっきから、私ばっか気持ち良くなってるのは、ちょっと」
「……!ハハ、心配しないで鎖羅センパイ。すんごく気持ちいいッスよ、鎖羅センパイのナカ」
「そ、そういうもの、なんですか……?」
「当たり前でしょ!あ、でも好きって言ってくれたらもっと気持ちよくなれるかもしれないッスね?」
いたずらっぽく目を細め、肌がぶつかり合う。
背筋から脳天まで快感が駆け巡る。期待やからかいを込めた視線が鎖羅に突き刺さる。