第4章 〜初恋〜
『と言うか、やっぱり、初めて会った時に
桜奈は、その人に恋しちゃってたんだよ。
すれ違っただけで、また会うような偶然なんて
起こるわけないって思ってたから現実味が
無かっただけでさ。
あのキラースマイルの岩田君ですら
軽くスルーする桜奈が
目も合わせられない、話もまともにできない
恥ずかしくて仕方ない、ドキドキしっぱなし
って、それを恋って言わないで
他の何を恋って呼ぶのか教えて欲しいわ!
無自覚にも程があるでしょ!って
言いたいとこだけど、その歳で初恋だしね。
まぁ、うん、仕方ないのかな・・・』
と、ヤキモキする自分を自制する詩織。
『そうなの?それが恋の状態なの?
だって、だってさ、徳永さん
彼女いるよね?
しぃちゃんも昨日、見たでしょ?
そんな人好きになるなんて、不毛だよ。
結婚になんて繋がらないじゃない?
そんな人を私が好きになるなんて・・・』
と焦る桜奈。
『でた!恋=結婚が、ポリシーの重たい女!
あのね桜奈、恋ってそもそも両思い
にすらなれない時だってあるじゃない?
だから世の中には、『片思い』なんて言葉が
あって、堂々と辞書にも載ってるわけでしょ?
恋なんて、いつもどっちかの
片思いからしか、始まんないじゃない!
しかも、相手の気持ちが分からないうちは
ずっと片思いのままなんだし。』と力説し
(なんか、我ながら、名言集に載りそうな
いいこと言った)とドヤ顔の詩織。