第4章 〜初恋〜
(初恋・・・?私が、あの人に?)
みるみる、驚愕するような表情に
かわると
『えーーー!!あり得ないよ!』
全力で否定する桜奈。
『しー、声でかい、今電車の中!!』
と、桜奈の口を塞ぐ詩織。
周囲の客が一斉にこちらを見た。
すみませんと言うように、肩を竦め
愛想笑いで誤魔化す詩織。
それから小声で
『とにかく、今日一日、学校の男子と
関わってみて、桜奈の言うその
動悸が起こらなければ
そのドキドキ感が謎イケメン限定で
おこる動悸だって証拠になるから
意識して過ごしてみなよ』
『うん、分かった。』と桜奈。
こうして、学校に着いてから
一日、自分の心臓を意識して
過ごしてみた桜奈だった。
詩織に言われたように昨日のような
動悸は学校では、一度も起こらなかった。
岩田君に『上杉さん、おはよう』と
声をかけられ、キラースマイルを
受けても、落ちたペンを、拾ってあげようと
ペンの持ち主の男子と手が触れても
プールの授業で、水着姿の男子をみても
全く、動悸は起こらなかった。
それどころか、昨日、躓いて乗っかった時に
間近でみた家康の顔を不意に思いだしたり
今朝、目にした、鍛えられてる上半身を
思い出すと、途端に赤面し、動悸がしてしまう
ことを自覚した桜奈。
(なんでだよー?)とそんな自分に頭を抱え
呆れてしまうのだった。