第3章 〜君を見つけた〜
『あのさ、桜奈。』と深いため息をつき
『桜奈は今までカッコいいなとか
優しくて素敵だなぁとか思った人は
いなかった?
私の知ってる限りで、そんな人は、幼稚園から
聞いた事はないけど、桜奈の心の中までは
流石の私にも分かんないからさ。
気になって目で姿を追っ駆けたり
その人のこともっと知りたいとか
思ったりした人いなかった?』
と、真面目な顔で聞く詩織。
しばらく考え、思い出してみたが
優しいとか、カッコいいと思う人は
いたけれど、気になったり、目で姿を
追っ駆けたりした人は、思い浮かばなかった。
『ううん、そんな風に思った人、誰も
いないかも』と桜奈。
『はっー、やっぱりか。あのね?
その動悸の正体は、いわゆる
『ドキドキ』とか『トキメキ』とか言う
恋をした時に現れるドキドキ。
好き又は、意識してる相手との間に
だけにおこる、緊張感のドキドキよ!
分かった?それを、動悸だなんて
よくもまぁ、そんな、色気の無い
言葉に変換してくれちゃって』
と、若干、キレ気味の詩織。
話をしながら、駅のホームに着くと
丁度、電車が来てぎゅうぎゅうの
車内に二人は乗り込んだ。
『しいちゃん、さっきの?どう言うこと?』と
まだ、全然ピンとこない桜奈。
『だーかーらー、桜奈はその
謎のイケメンに恋しちゃったんだよ。
しかも、『初恋』だよ。たぶん。』