第18章 〜輪廻〜

『素粒子物理学の世界ではね
観測、まぁ想いと言ってもいいかな。
それが素粒子の形態に影響を与えると
言われている。有名なのが二重スリット実験
とかだけど。僕は、人の想いは想像以上に
現実に反映されて行くと思っているんだ。

まぁ、これは研究者と言うより、個人としとの
見解だけどね。歴史なんてまさに、様々な
人の想いによって起こった出来事の数々
と言い換えられると思わないかい？』

『そう言われれば、確かにそれぞれの
思惑によって、動いて行く感じですよね』
と、納得する家康。

『いやー、流石、家康君！分かってくれる？
嬉しいなぁー』と、上機嫌の鷹介。

『いえ、本当に興味深い話でした。
こちらに、お世話にならなければ
きっと、聞くことができない話だったと
思います。貴重な話を聞かせて頂いて
ありがとうございます。』

『いやいや、もうご要望とあれば
毎日でもできるよ』と家康の肩を
ぽんぽんと叩きながら、更にニコニコする
鷹介。

笑顔を返す家康だったが
真面目な顔に戻ると
『僕ももっと、お話が聞きたいと
思いました。ただ・・・突然なんですが
実は、気に入った部屋が見つかりまして・・
明後日には契約できるので、できれば
来週末くらいには、引っ越ししようと
考えてます。本当にお世話になりました。』
と、折り目正しく、頭を下げる家康。