第18章 〜輪廻〜
桜奈としては、揶揄い半分の
冗談のつもりだった。なのに、あっさりと
食事介助を受け入れられてしまい
自分が大それたことを提案した事実に
急に恥ずかしさがこみ上げる。
(あわわ、どうしよう!本当に食べさないと
ダメ?)
だが、自分から言いだした手前
やっぱりやめて1人で食べて下さい
とも今更言えず
『じゃ、宜しく!あー』と口を開けて待つ
家康に、プルプルしながらお粥を口に運んだ。
恥ずかしがる桜奈を横目で見ながら
クスッとする家康。
桜奈の分かりやすい反応に
(///ほんと、素直だねぇ〜)
(///ハッー、余計なこと言うんじゃ無かった。
恥ずかしくて、顔を見れないよ・・・)
お粥をすくって、ふーふーと冷まし
口に運んでもらって食べるお粥と
恥ずかしそうに、はにかむ桜奈の姿は
ぐったりする家康には、癒しそのものだった。
(風邪なんて、何年ぶりにひいたかな?
でも、こんな気持ちを味わえるなら
悪く無いや・・・)
お腹も心も満たされた、家康はまた眠気に
襲われた。薬を飲み終えるとまた横に
なって、目を閉じた。
家康がまた眠ったように見えた桜奈は
家康のおでこにそっと手を当てて、
熱を確認すると、そのまま
髪を後ろに流すように、頭を撫でた。
『早く、良くなってくださいね・・・』
ポツっと呟いた桜奈の声と
優しい手に、心の底からホッとする
感覚になる家康。
そして、こんな感覚を前にも味わった懐かしさ
も同時にこみ上げる中、ゆっくりと眠りの中へ
再び落ちて行くのだった。