• テキストサイズ

また、恋してくれますか。

第17章 〜他生〜


しかし、桜奈の想像は
あながち間違ってもいなかった。

今まさに、信長と対峙し仁王立ちしている
詩織の姿がそこにはあった。

ーーこの状況になる少し前ーー

(あー、どうしよう〜桜奈には
ああ言ったけど、まさかのまさかよ・・
また、会えるなんて思ってなかったしー)

できることなら、頭を抱えて歩きたいほど
足取りは重いのに、心臓は今にも壊れて
しまいそうなほどの暴走モードで
動いていた。

(しかも、徳永さんのお兄さんとか
世間せまっっ!!)

まるで、戦場にでも向かうかのような
難しいく険しい形相で歩く詩織に
すれ違い様にギョッとし、振り返る人にも
気づかない程、余裕はなかった。

(あーっ、帰りたい!やっぱ帰ろうか・・・
いやいや、おばあちゃん置いて帰るわけ
いかないし・・・)

さっきから、何度同じ思考を繰り返して
いるのだろう?

本能では今すぐ、身を翻しダッシュで
帰りたい気分。
でも、検査の為に病院に向かったおばあちゃんを
置いて帰る訳にもいかない。

最近、体調があまり良くなくて、受ける検査だ。
帰る途中に、体調が悪化して倒れでもしたら
と心配で付き添ってきたのだから。

そうこうしているうちに、病院の自動ドアを
通り、院内に入った。

そして、ふと気づいたのだ。
(そうだよ!私は、お兄さんの顔覚えてるけど
お兄さんの方は、私の顔は分からないんじゃ?
きっと、分かんないよ。小学生のガキんちょ
助けたくらいの記憶なら、きっと顔なんて
覚えてるはずない・・・
なーんだ、焦って損したわ)
/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp