第17章 〜他生〜
『栞、身体の具合はどぉ?』と
千里が声をかけながら、顔を出した。
『ママ!ごめんね。心配かけて
うん、もう大丈・夫・・・』
と言いいかけながら、千里の後から来た
桜奈と家康に視線は釘付けになった。
この世のものではないものを見たかのように
『はっ!』と息を飲み、驚愕した表情になると
両手で口を覆い、突然泣き出した。
『栞!ど、どうしたの?』と慌てる千里。
嗚咽を漏らしながら、うずくまり
号泣する栞。
何が何だか訳が分からない三人は
オロオロし、千里も桜奈も
栞に駆け寄り、背中や足を摩った。
桜奈の手をぎゅっと握りしめて
切ない瞳で、桜奈を見つめた栞は
『また、桜奈さんに会えるなんて
夢みたいで・・・(夢じゃなかったんだ)』
朦朧とする意識の中で見たのは
現実だったと噛みしめながら桜奈の手を
引き寄せ祈るように額に当て
ただただ涙を流した。
『栞さん、私も会いたかった』と
きっと言ってもらえると、信じて疑って
いなかった栞に
『お、お姉ちゃん?』
と、桜奈。
号泣していたが、晴天の霹靂とはこの事だ
と言わんばかりの表情で『えっ!?』と
顔を上げた栞。
『桜奈さん!私よ栞よ!
私のこと、忘れちゃったの?
家康!家康も何とか言ってよ!』と
涙目で、訴えられた家康も『えっ!?』
と驚く様子に、また『えっ!?』と
訳が分からなくなる栞。