第12章 〜終恋〜
『なんだよ?振られたのか?
そんな暗い顔して』と
政宗がパンケーキを運んできた。
『お待たせしましたー』と、光成の前にも
料理が置かれた。
『わっー!政宗さんのパンケーキだ!』
さっきまでの、沈みかかった気持ちは
吹き飛んだ。ぱぁっと明るい顔に
なると、その後すぐ
『いや、だから、岩田君はただの友達
ですから!振られるとか、そんなの
ないですよ』と今度は政宗にむぅッとした顔を
する桜奈。
微笑みながら(やっぱり、そこは鈍感なんだ)
と可笑しくなる光成。
『違うのか?振られたんだったら
俺が慰めてやるよ!なんなら、この際
俺にしとけよ』と冗談を言う政宗。
『遠慮しときます。でも政宗さんの
パンケーキは大好き』と満面の笑みで
政宗に答える桜奈。
(はっ、これだもん。男がほっとかないわな)
『ツレねぇ事言うなよ!バイト始まったら
色々、手取り足取り教えてやるから
楽しみにしてろよ』と含みを持たせたが
『はい!ぜひ!』と言う桜奈に
ギョッとする光成。
(えっ、手取り足取りって?)と思っていたが
『お料理教えてもらえるの、凄く楽しみ
にしてます!政宗さんのことは、これから師匠と
呼ばせて下さい!!』張り切って答える桜奈。
そんな桜奈に政宗は頭を抱えた。
二人のやりとりに(そう取るか!)と
『ぷっ』と光成は吹き出した。
『こいつ、どんな城壁より隙がないんだよ。
しかも、天然物だからたちが悪い』
と桜奈を親指で指し、呆れる政宗。
クスクスしながら『確かに』と答える光成。
二人が何に同意してるかさっぱり
分からない桜奈。
『まぁ、あんたも頑張んなよ』と光成の
肩をぽんと叩くと
『はい、僕なりに』と光成は答えた。
政宗は、光成の気持ちを推察していたが
隙のない城壁に賛同した事で確信し
励ましたのだった。