第8章 〜恋敵〜
ピリピリする空気に耐えられなくなった
桜奈は、話題を変えようと
『あっ、そいいえばしぃちゃん。
岩田君には、徳永さんも一緒に行くこと
伝えてくれた?』
詩織は、しめたと思った。
さっき煽った反応がより明確に見られると
思ったからだ。しかも、岩田君が桜奈を
好きなことは、桜奈に自覚がないだけで
明白なこと。家康と光成が会ってお互いどう反応
するのか、詩織は興味を持っていた。
『岩田君にも連絡したよ。でも、徳永さん
ほんと、親切ですよね、桜奈の
家庭教師なのに、私と岩田君の勉強まで
みてくれるなんて、超優しい』とわざと
らしく大袈裟に褒めた。
『えっ、俺、てっきり小野寺さんだけかと
思ってとけど、もう一人来るの?』と言う
家康に、詩織は、(どう言うこと?)と言う
視線で桜奈をみた。
桜奈は、ハッとし『友達って、伝えた
だけで、色々あって複数形では伝えてなかった
かも』と、バツが悪そうに詩織に答えた。
『すみません、徳永さん、あと一人
岩田君と図書館で待ち合わせなんですけど
大丈夫ですか?』
と桜奈は、家康に恐る恐る聞いた。
家康は、眉をピクっとさせたが、同時に
(なんだよ、ちゃんと男っ気あるんじゃん)と
先程より、モヤっとする感じが広がり
自分の正体不明のイラつきを
嫌味にして、口に出した。
『別に構わないよ。教えることは一緒だし。
でも、おばさん奥手で男っ気ないとか
言ってたけど、ちゃんと男友達いるんだね
あっ、もしかして、彼氏?』
詩織は、家康の態度で
(よっしゃ!かかったー!)と一人
内心ほくそ笑んでいた。