第82章 Loving feeling
「なんで、逃げんだ?」
「すみません…」
恥ずかしくて目を合わせられない
椅子の肘置きを掴んでグルンと松田さんの方に向かされた
ドギマギしている私の顔を見つめて、
ニヤリと口角をあげて笑う松田さんはとっても意地悪な顔をしていた
その空気を割くように、新人君に呼ばれて席を外す
「先輩、顔赤いですよ?体調悪いんですか?」
「なんでもない、なんでもない、大丈夫
それより、なんの話?」
「あぁ…今日の捜査会議出ますよね
公安とFBIとの合同捜査のやつ…」
「うん」
「なんか緊張しちゃって…公安の方々ってエリート揃いだから、どんな心構えで入ればいいか教えてもらおうと思って
先輩、公安にいたんですもんね」
公安にいたって言っても、記憶がなくて、どんな捜査をしてきたかなんて、わからない…
「ごめんね、私、よく覚えてなくて…
でも、きっと私がいたんだから、エリート揃いなんてことないと思うよ」
喋りながらだんだん息が苦しくなってきた
上手く呼吸ができなくて、ハッハッ…と短くなってしまう
「、大丈夫か?
ゆっくり、ゆっくりでいい、深呼吸しろ
そう、上手だ…」
松田さんが飛んできてくれた
背中を暖かい手が撫でてくれる
上手く誘導してくれて、これ以上呼吸が、苦しくなることはなかった
「落ち着いたか?」
「ごめんなさい…」
暖かいココアを買ってきてくれて
飲んでろと頭をポンとされた
ちょっとこい、と新人君を連れていった
「ちょっと大丈夫?」
「はい、すみません…もう大丈夫です」
佐藤さんも心配してくれて、ギュッと抱きしめてくれた
松田さんと一緒に戻ってきた新人君に謝られて、気にしないで欲しいとお願いした
「松田さん、すみません」
「いいって、そろそろ会議始まるぞ」