第82章 Loving feeling
松田さんが…私を好き?!
優しくしてくれるなとは思っていたけど…まさか好きって感情があったなんて思わなかった
記憶をなくしてる後輩に優しくしてくれてるものだとばかり思っていた
好きの気持ちを押し殺して、記憶をなくしてから一緒にいてくれたのかと思ったら、胸が苦しくなった
ごめんなさい、松田さん…
返事は求められなかったけど…明日からどういう顔をして会えばいいのか、わからないまま突然きた睡魔に身を任せて眠った
本庁の玄関先で苗子さんと諸伏さんが話しているのを見つけ、多少の気まずさはあったものの意を決して2人に昨日の事を謝った
2人ともいいよって言ってくれて安心した
「こんなとこでなにやってんの?」
声の主にドキリとして肩が跳ね上がる
「おはようございます」
「おー、松田、おはよう」
「わ、私…先に行きますね!」
松田さんの登場に驚いてまだ心の準備が出来ていなかった私は逃げるようにその場を離れた
デスクに着いてホッとしていると視界の端に松田さんがまた現れた
ホッとしている場合ではなかったことを思い出した
デスクは隣で…しかも相棒で…
顔を合わせないなんて不可能だ
「おはよう」
「おはよう、ございます」
ぎこちない挨拶に、松田さんの眉間にシワがよる
ふぅーっとため息をついた松田さんさんは
デスクに肘をついてから
「そんな困ってますー、みたいな顔をさせたくて
言ったわけじゃないんだがな…」