第60章 ex
「今俺は、が甘えくれることも、頼ってくれることも全部嬉しいんだから
弄ばれてるなんて微塵も思ってねぇし…これからも思わない
一緒にいたいって…そればかり思ってる
それだけで満たされるから、会えないなんて言うなよ」
が気にする事ねぇぞと優しく言ってくれる
「何回も言わせるなよ…」
いつもこう言ってくれる陣平さんは本当に優しい
つい最近、ヒロくんにも気持ち伝えられて
自分の気持ちがぐちゃぐちゃで、どうすれば良かったのか、何が正解なのか…
全然わかんない
受け入れなければ良かったと、後悔だけしかなくて
泣くのは狡いってわかってるけど、ジワジワ溢れてくる涙の止め方を私は知らない
「泣くな、は泣かなくていい」
喋ったらもっと泣いちゃいそうで、クッションに顔を埋めた
「かわいい顔が台無しになるぞ」
ポンポンと今度は頭を撫でてくれる
「優しくしないで…」
「そんな事言われても好きな女には優しくしたいと思うんだけど…」
「狡い…」
何がだよと笑う陣平さん
「好きだよ」
抱きしめられて耳元でそう囁かれて
狡いと泣きながら、ポカポカと陣平さんの胸を叩いた
「いっぱい考えてくれたんだろ?
降谷にこの前たまたま会ったんだ…
そんときに言われたよ
を好きになるのは構わないが、あいつの弱みになるなって
何言ってんのか分からなかったけど、1人になって、よく考えてみた
お前らが追ってる組織のこともよくわかんねぇけど…
でも、逆ならって、お前を人質に取られたら、俺はきっと犯人の要求を飲む
降谷の言いたかったことはそういう事だろ?」
大事なものは人を弱くする
私だって同じ、みんなを盾に取られたら陣平さんと同じ判断をしちゃう
公安としてそれは1番のタブーで、だから零くんは恋人を作らない
そうヒロくんから聞いた
「私が陣平さんに出来ることない?」
「は?」
「いつも与えてもらってばっかりで、私も何が陣平さんに与える側になりたい」
「いいんだよ、と一緒に酒飲んだり飯食ったりするだけで
強いて言うなら、には笑ってて欲しい
それだけだ」
「お掃除とか?洗濯とか、ご飯作るのとかは?」
「お手伝いさんになるつもりか?」
ふふっと陣平さんが笑った