第58章 Detective
なんで今なんだろう…
なんであの時じゃなかったんだろう…
ずっと好きだった人に好きって言われて、動揺した
でも…今はまだ…無理…
走って本庁まで行くと徹夜したのか零くんと風見さん
風見さんに謝られて、良くやったと褒めてくれた
零くんもゴメンなと謝ってくれて…
「逮捕できてよかった」と伝えた
「、顔赤い…」
「あぁ、走ってきたから…」
「そうか…、ランチご馳走してやるから、今日ここに来てくれ」
「わかった、なんでまた…」
「頑張ったご褒美だ」
なでなでされて、褒められたことを素直に喜んだ
まさか、上司のあんな姿を見るなんて思っても見なかった
喫茶ポアロ
零くんが指定した場所、時間に到着した
中を覗き込んでも零くんはいなくて中で待つことにした
ガランと鳴るドアベルが心地いい
「いらっしゃいませ」聞き慣れた声に目を見開いた
零くんがエプロンつけて営業スマイルで接客している
(降谷零と言うなよ)と無言の圧力を感じる
「おひとりですか?」
「え、あぁ…はい…」
カウンターに案内されてメニューをどうぞと渡してくれる
ハムサンドとカフェオレを頼む
かしこまりましたとキッチンに消えていった零くんを無言で見つめていると、お水を持ってきてくれた女性の店員さん
「初めてですよね」
「あぁ、そうですね、待ち合わせしてたんですが、すっぽかされたみたいです」
皮肉たっぷりに零くんに聞こえるように言った
「あなたのような方との約束をすっぽかすなんて酷い男ですよね、ね?梓さん」
「そーですよ!そんな男の事は忘れて今日はゆっくりして行ってくださいね」
男なんて一言も言ってないんだけど…とジト目で零くんを見つめると肩を揺らして笑っている
意図が全く読めないんだけど…とりあえず出されたハムサンドを食べる
あ、零くんの味…何度も食べた零くんのハムサンド
やっぱり美味しいな…何度聞いても作り方は教えてくれなくて、食べたくなったら言え、作ってやるからと言われた
久しぶりに食べた味に涙が浮かんだ