第17章 後悔させてやるのだよ
『疲れたーアイス食べて帰ろっ!』
「花子、今日もまた外周させられていたようだが、大丈夫か?」
『全然大丈夫!ちょっとシュート外しすぎて、そのペナルティだよ』
「ふっ、こんなにシュートを外すオマエがレギュラーとは帝光中女バスの未来が心配なのだよ」
『うるさいなー、真ちゃんは!』
いつものなんてことない帰り道。
赤司は誰にでも優しいが花子には輪をかけて優しい。
割れ物を扱うように優しく接する赤司はまるで紳士のようで、それでいてオレは好きな女の子に意地悪をしてしまうように思ってもいない言葉を並べてしまう少年のままでいた。
そしてその中心にはいつも花子がいた。
花子の望むただの幼なじみは、このままずっと大人になっても続くと、このときのオレは思っていた。
・・・・・でも現実は違った。
「赤司、オレは今オマエを殴りたいと思っているのだよ」
「ははっ、すまない。花子には悪いことしたと思っている」
本当にすまないと赤司が思っていないことくらいすぐに分かったが、ひとまず今は話を聞くのが先だ。
イライラしているのはオレだけのようで赤司は涼しい顔で話を続ける。
「真太郎、僕と勝負をしよう。」
「どういうつもりなのだよ。」
赤司は優雅にコーヒーなんて飲みながら、顔色一つ変えず、何でも見透かしたような目でオレを捉える。
「結論から述べると、僕はあいつが欲しくなった。ずっと好きだったからな。そしてその気持ちは今も変わらない」
片鱗はあった。何度も。
その度にオレは赤司の気持ちに気付かないフリをしていた。
なぜなら、オレ自身もただの幼なじみを望んでいたから。
花子が誰かの大切な人になるなんて考えたくもなかったからだ。
それが例え赤司でも同じだった。