第11章 オマエが好きだ
「オマエが言ったんだからな。」
そう言い、そっと抱きしめる。熱のせいで花子の体はかなり熱い。
昨日といい、今日といい、この2日間今までにないくらいに花子に触れている。
もちろんそれは嬉しいことなのだが、こうも続くと勘違いもするし、想いも一層高まる。
『・・・・・はぁっ、真ちゃんっ』
「どうしたのだよ?」
さりげなく頭を撫でながら問いかけると、花子は一言、落ち着く、と言って目を閉じた。
もうこの想いを伝えるとしたら、今しかない。
弱っているときに不本意ではあるが、この膨れ上がった気持ちを一刻も早く伝えて、腕の中にいる花子の心も身体も自分のものにしてしまいたいという欲求が止まらない。
「なぁ、花子。」
『・・・・・はぁっ、な・・に?』
オレは言うぞ。
幼稚園の頃から一緒で、好きになったのがいつかなんて今更思い出せないくらい、それくらいずっと好きだった。
本当はロマンチックな告白を夢見ていたが、仕方ない。今しかない。
「オマエが好きだ。」
『・・・・・。』
精一杯の告白だった。
しかしいくら待っても花子の返事はない。
「花子?」
まさかと思い体を離すと、予想通りそこには既に眠りに落ちている花子がいた。
「・・・・・なんなのだよ」
オレの人生で初めての告白は、無かったことになってしまった。
眠っている花子をベットに寝かせ、少し汗ばんでいる頬を撫でる。時おり肩で息をしている彼女は、やはり少し色っぽく、オレの欲をこれでもかと言うくらいに沸きたたせる。
「オマエが悪いんだからな」
それだけつぶやいてから、オレは花子の唇に触れるだけのキスをした。
これまた人生で初めてのキスは、さっきまで花子が飲んでいたオレンジジュースの味がした。
(「・・・・・バレていないよな?」)