• テキストサイズ

緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第44章 忘れさせてやる






『な・・・、なんで・・・っ』


「なんでって?どうしてオレがここにいるのか知りてぇってか?」



ニヤリと舌を出して笑う灰崎と会うのは、あの日以来だ。自動販売機から取り出し手に持っていたはずの飲みものたちは、いつの間にか足元に転がっていた。


それにさえも気付かないほどに、私は激しく動揺していたのだ。


こんなヤツと話なんかしている場合じゃないことくらい重々分かっているはずなのに、震えて怯える足の動かし方を私は忘れてしまったのか、ここから動けずにいた。




「次、黄瀬と戦(や)んの。」


『・・・っ、』


「てか、オマエ緑間と付き合ってんの?てっきり赤司が好きなんだと勘違いしてたぜ。」




地蔵のように固まり動けなくなってしまった私とは相反して、灰崎はじわりじわりとその距離を縮めてくる。




「あの頃よりも随分キレイになったじゃねぇか。緑間にいっぱい抱かれてんのか?」



背中にはひんやりと壁があたり、下世話なことばかり並べる灰崎の腕がすーっと伸びる。辞めてと言いたいはずなのに、口もまるで機能せず。されるがままに頬を撫でられる。


その気持ちの悪い触り方に、身体が一瞬ビクリと跳ねてしまう。そういう反応をコイツは楽しんでいるのだ。



『ゃっ・・』


「へぇ〜、前よりかは随分いい反応すんじゃん。ちょっとオレと遊ぼうぜ?」



その一言を言われた瞬間に灰崎の右の手で両手を頭上で一纏めにされる。ここまでされてやっと私の身体は抵抗の色を見せ始める。



『や、やめてっ!』


「遅せぇよ、バーカ」



身体を捩るも、やはりオトコの力には勝てない。そして一気に近付いてきた灰崎はそのまま私の唇に自分のそれを無理やり押し付けてくる。



『んんー、んんっ!!』


「チッ。おい、口開けよ?」


『嫌に決まってるでしょ!』


「ふーん、イヤじゃしょうがねぇよな。んなことはしたくねぇけど、自分で口を開けねぇっつーならこうするしかねぇよなぁ?」



そう言うと今まで手持ち無沙汰だった灰崎の左手が、首元にかかる。まさか、そう思った次の瞬間には力いっぱい首を締められていた。



『・・・うっ・・や、・・め・・て、』


必死に鼻呼吸に徹していたが、次第に苦しくなり等々酸素を求めて口を開いてしまったタイミングで、再び灰崎に唇を奪われた。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp