第37章 これだから恋愛初心者は
『幼なじみのプレゼントですか?』
合宿最後の練習が終了し、持ってきた荷物をまとめてバスに乗せる。キャプテンが手伝ってくれることになり、2人で着々とこなしていると彼から幼なじみの誕生日プレゼントは何が良いかと聞かれたのだ。
「明日誕生日なんだが、今どきの女子は何が好きなんだ?」
果たして自分は今どきの女子なのだろうか。いや、そこからは随分とかけ離れているような気がしたが、キャプテンの真剣な顔を見てしまった以上、私も真剣に考えなければいけないと思った。
『やっぱり甘いものじゃないですかね?女子はみんな好きだと思いますよ。チョコレートとか。』
「チョコか・・・。」
いい案だな、とキャプテンは優しそうに笑っていた。でもきっと、プレゼントってどんなものを貰っても嬉しいものなのだ。現に真ちゃんと赤司から貰った今までのプレゼントで嬉しくなかったことなど、私は一度もなかった。
『きっとどんなものでも嬉しいと思いますよ。』
「ありがとうな。助かったよ。」
『あ、私も一つ聞いてもいいですか?』
「なんだ?」
『デートのとき、彼女がどんな服着てきたら嬉しいですか?』
明日、ついに待ちに待った真ちゃんとの初デート。流石にデートにジャージはまずいことくらい分かっているが、何を着たら良いのかさっぱり分からなかった。なにせ、デート自体人生で初めてなのだ。分かるはずもない。
「いや、オレじゃなく、緑間に直接聞いたらいいんじゃないか?」
『うぅ・・・』
キャプテンの言っていることは至極当たり前であるが、それが出来ないから困っているのだ。キャプテンだって幼なじみに直接聞けば良かったじゃないか、と出かけた言葉たちを飲み込んだ。
「オレなんかより、もっとデートの経験ある男子に聞いた方がいいんじゃないか?例えば・・・・・海常に行った黄瀬とか。」
『黄瀬くんか・・・いい案ですね。』
そして足早にバスへ荷物を積み、私はポケットから携帯電話を取り出した。