第36章 オレのオンナだ
『あっ・・・あ、あ、ぁぁぁんっ!真ちゃんっ!!』
「オレも・・・・うっ・・・イクっ、」
花子の口に欲望を吐き出したあともオレたちは何度も行為を続けた。今のでオレたちが何回目の絶頂を迎えたのかなんて分からなかった。
肩で息をする花子は気を失ってしまったのか、瞑ってしまった目は一向に開かなかった。
布団を敷き裸の花子に上からTシャツを着させ、そこに寝かせる。相変わらず起きることはなくよく眠っている花子の髪を梳く。
「・・・無理させてしまったか?」
もちろん返事はなく、オレの問いかけは急に静まり返った部屋に消えてなくなった。
時刻は23時。
重たい身体に鞭をうち高尾の部屋に戻ろうと、花子の部屋の鍵を取る。
扉を開け部屋を出ると、廊下は既に真っ暗だったが、近くに人の気配を感じた。誰かいるのか、そう問いかけるよりも先にヤツは口を開いた。
「随分とお楽しみだったようだね。」
顔を見なくても誰だか分かるその声にオレは鼻で笑って返す。
「とても良い趣味とは言えないな・・・・・赤司。」
花子の部屋の扉を閉め、しっかり鍵をかけてから赤司の顔を捉える。いつも通り涼しそうな顔をして立っている赤司に、少しばかり苛立つ。
「人聞きが悪いな。僕だって好きなオンナが他のオトコに善がる声など、できれば聞きたくなかったさ。」
「そうかよ。で、何しにきたんだ?」
「幼なじみだろ、あいさつくらいはと思ってね。」
「花子をかけて勝負したいと言ったやつが、よくノコノコと来れたもんだな。」
それもそうかと赤司は笑うと、片手をあげてオレに背を向け歩き出した。そして少し離れたところで赤司はオレに再び声をかけた。その顔はやはり昔の赤司とは全くの別人のようだった。
(「やっぱり僕は花子が欲しい」)
(「・・・。」)
(「オマエの花子が欲しくてたまらないんだ」)