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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第29章 また会えて嬉しいよ






「僕たちも合宿で、秀徳と同じ麓の合宿所に泊まっている。明日の早朝には帰るがな。」


『・・・そう、なんだ。』



正直に言えば、この状況に困っていた。
適当にあしらって高尾のところに戻りたいと思っているのに、思うように足が動かないのだ。


・・・赤司だ、怖くなんかない。


そう言い聞かせてはみるものの、一歩、また一歩と赤司が私に近付いてくる度にドクンドクンと心臓が脈打つ。




『真ちゃんなら、いないよ。』



やっとの思いで口から出た言葉を、赤司は既に知っているだろう。知っていて、ここに来たに違いない。


クスっと笑いながら私を見つめるオッドアイには、もう昔の赤司の面影はなかった。



「わざわざ僕が真太郎に会いに来たと思っているのか?」


『いや・・・その、』


「大分嫌われてしまったようだね。」



おどおどしている私を見て、呆れたように赤司は笑う。


ジリジリと近付いてくる赤司から離れるように後ろに下がると、ひんやりとする壁に背中がぶつかった。




「そんなに怯えないでよ。」


『・・・・・っ、』


「僕だって花子を傷付けたい訳じゃない。」



赤司は左手を壁につけ、ゆっくりと顔を近づける。鼻と鼻がくっつきそうな所で、私の髪を梳かすように撫でると満足気に笑った。


・・・離れなくちゃ。
そう思うのになかなか身体が動かなかった。



「あれ、逃げないの?」


『・・・・・。』


「キス、しちゃうよ?」



・・・やだ、したくないっ!
私は思いっきり目を閉じて俯き、精一杯の抵抗をした。


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