第26章 ただの醜い嫉妬だ
『おまたせ。』
雨に濡れたためシャワーを簡単に済ませた私は急いで部屋に戻った。真ちゃんは、床で胡座をかきながら、今日のラッキーアイテムだった推理小説を読んでいた。
「バカめ。髪をちゃんと乾かすのだよ。オマエ、すぐ風邪ひくんだから。」
そう言うと真ちゃんは、私の腕をひっぱり長い足の間に座らせられ、肩にかけていたフェイスタオルで髪を拭き始めた。
・・・もう怒っていないのかな?
髪を拭く真ちゃんの大きな手がなんだか心地よくて、このまま眠れそうな気分だ。
心地良さにウトウトとしていると、急に真ちゃんの手の動きが止まった。
『真ちゃっ、・・・んっ、ふぁん、・・・っん、』
振り向くと同時にいきなり深くて強引なキスをされた。息をする間も与えてくれない程に口内を犯され、首筋に添えられた長い指からはゾクゾクとした感覚が私を支配する。
・・・やっぱり、まだ怒っているんだ。
いつもとは違う少し乱暴なキス。必死に応えるように舌を絡ませると、どちらのか分からない涎が口から溢れ出す。
『んっ・・・っ、・・ん、』
行き場を無くした両手で真ちゃんの胸辺りを軽く叩くと、それを阻止するかのように手を絡ませながら繋がれる。
キスで息が苦しくなり、身体の力もだんだんと無くなってきたころ、後頭部に手を添えられながら真ちゃんに押し倒される。
それと同時に長いキスが終わり、私は乱れる息を整えた。
『・・・真ちゃん?』
「・・・・・。」
『ごめんね、まだ怒ってる?』
「・・・違うんだ。」
『え?』
「・・・っ、ただの醜い嫉妬だ。」
私の頭を優しく撫でたあと、また真ちゃんの荒っぽいキスが始まったのだ。