第26章 ただの醜い嫉妬だ
『うわ、ご、ごめんっ。』
自分の服を見てみると、ワイシャツが雨に濡れたせいで透けて下着が見えていた。咄嗟に腕で胸を隠す。
雨に濡れ、傘もなく帰れなくなっていたことをすっかり忘れてしまっていた私はみんなに事情を話し謝った。
「オレので悪いが、上からこれ着ておけ。」
鉄平さんに渡されたのは黒い半袖のTシャツだった。上から着ると、大きすぎて制服のスカートよりも長くなってしまった。
『やっぱり、大きいですね。』
「彼氏の服を借りました感がすごいですよ、山田さん。」
「緑間、怒るぞー。」
「火神茶化すなよ。下着透けたまま帰す訳にはいかんだろう。」
「それこそ、緑間くん怒りそうです。」
あぁでもない、こうでもないと話した結果、怒られるだろうが鉄平さんの服を有難くお借りすることで話はまとまった。
傘のない私は、鉄平さんにビニール傘も借りてそのまま秀徳へと帰ることにした。
『ほんっとにありがとうございます。』
「いいって。それより予選楽しみにしてるからな。」
もう一度鉄平さんに頭を撫でられ、私たちはそこで解散した。
雨はまだ降っていた。
身体は冷えきっていたが、鉄平さんの匂いに包まれながら足早に真ちゃんの元へと向かった。