第22章 またかよ
思わずびっくりして身体を離すと、こっちみないでと言わんばかりに頬を赤らめて再びオレの胸に顔を埋める。
ふざけすぎだ。
こいつは全く男というものを分かっていない。
どれだけオレが我慢して、その一言でどれだけオレがオマエを欲してしまうかなんて何もこいつは分かっていないのだ。
「あおるのはよせ。」
『・・・・・。』
なんの返答もない花子。
・・・まさか。
胸に体を預ける花子はそのまさかで、スースーと寝息をたてて気持ちよさそうに寝ていた。
「またかよ。」
その後オレは花子を背負って旅館に戻り、こいつをふとんに転がしたのだ。夏とは言え、風邪をひかないようにタオルケットをかけた。丁度そのときだった。
『・・・いかないで、』
オレの腕を掴んで、彼女はそう言ったのだ。
ただの寝言だ。
気に留める必要もない。 自分の部屋に戻って寝てしまえ、そう思った。
しかしスースーと寝息をたてて眠る花子を見たら、なんとなく離れたくなくて、側にいたくて・・・。
花子の寝言を利用して、オレはそのままここで朝を迎えたのだ。
『ねぇ、真ちゃん教えてよ。』
「うるさいのだよ。これから練習だ。集中しろ。」
こうして合宿3日目がスタートしたのだ。
(「確認だか、どこまで覚えている?」)
(『キスしたとこまでは、・・覚えてる』)
(「ならいいのだよ」)