第2章 名前はキンプリ
午前8時。
指定された場所へ行くと、
何人かわたしと同じ
スーツを着た人達が集まっていた。
でも、わたしにはない
経験豊富そうな感じ。
ここではないのかな、とも
思ったけれど、
すぐにやってきた担当の男性の
名前が、採用連絡の時の人の
それと同じだった。
「確認をとります。
本日から就業される——」
名簿を見ながら、
スラスラと名前が読み上げられる。
「勝瀬さん」
「はい」
わたしが返事をすると、
その男性は一瞬目を見開いた。
けれど
無かった事のように
次の名前を読み上げる。
今回集まったのは8人。
わたしの他に、女性は
1人だけだった。
……噂でも、この事務所の
マネージャーは男性が
ほとんどだと聞いた事がある。