第3章 それぞれの葛藤
「あ、……いえ。全然」
笑った顔が眩しい。
思わず、
俺は視線を逸らしてしまった。
なんか、
なんなんだろう。
こう、心臓がギュッとなる
ような——
そう思いかけた時、
リハーサル室の扉が勢いよく
開いた。
「お疲れーっす。って、
勝瀬さん!久しぶりっすね!」
「永瀬くん!お疲れ様です」
廉に続いて、他のメンバーも
ぞろぞろ続いて入ってきた。
「あれ、岸くん早いね!?」
「ああ……自主練」
「まじか! 俺も早く覚えよ」
メンバーが荷物を置くなり、
ウォームアップを始める。
すごいなぁ、と
無意識だろうか。
呟く彼女を横目で見て、
俺はメンバーの元へ駆け寄った。