第2章 名前はキンプリ
「僕、一応キンプリの
チーフマネなので、何か不便など
あったら遠慮なく言って下さい」
蒲田さんは、そう言うと
にこりと笑顔を浮かべた。
きっと、実際の年齢より
若く見られ過ぎる笑顔。
……この人、本当は
わたしと同い年くらいなんじゃ
ないだろうか。
とっても可愛く笑う人だな。
そう思いつつ、わたしは
蒲田さんと一緒に車に乗り込んだ。
走って走って、
走って
走って走ってやってきたのは、
他県にあるスタジオだ。
ここで、メンバーは
撮影をした後、
取材が入っているらしい。
緑に囲まれたいい空間。
建物に入ると、
バシャバシャと重く聞こえる
シャッター音が響く。
被写体は、触れそうなくらい
顔を寄せ合ったメンバーだった。
「いいねいいね!
しょうくんその笑顔いいよー!
廉くんもうちょい首傾げて!
そう!いいね!」
カメラマンさんは大声で
一人ひとりに呼びかけながら
シャッターを切ってゆく。
度々飛び出すジョークに
その場にいた人が笑った。
……なんて楽しい空間なんだろ。
なんか、いいな。
そしてひとしきり終わったところで
蒲田さんがメンバーに
駆け寄っていった。