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溺愛執事の恋愛事情

第4章 お嬢様の憂鬱


「はぁぁぁ〰️っ」



盛大なため息ひとつ、そのまま机に突っ伏した。




「………天下の西園寺財閥ご令嬢が、これまたでっかいため息だね」
「皇ちゃん、大丈夫?和泉さまとなんかあった?」



「……」



天下のご令嬢ならそこにも元祖お嬢様とやらがきらびやかに輝いてますけどね。


「皇ちゃん?」



「……ないよ」



心配そうにそのでっかい瞳をキラキラ輝かせて。
姫があたしをのぞきこむ。



「ないから、イライラするんだよ」


「イライラしてたの」


「……してない」
「どっちだよ」





「皇ちゃん?」
「さっきからずいぶんと姫に見惚れてるけど、なんか目覚めた?」
「はぁ?」


ヤバい。
この人と話してると、あたしの頭がおかしくなる。



「和泉さまとずいぶん仲良さそうに登校してたじゃん」
「仲良くないわ」
「?」
「あれじゃ、ただの執事だもの」
「和泉さま、執事でしょ?」
「そうだけど」
「通訳必要なんだけど。あんたの言葉さっぱり理解出来ないわ」





あたしにもハイセがわかんないわよ。



距離縮めて来たかと思えば、いきなり遠ざけたり。
今朝なんて。
助手席開けた途端、一礼なんかしちゃって。
顔、上げもしないで。
近くにいたのに、触れることすら出来なかった。
隣にいたのに。
すごく遠い。




「姫みたいに素直で可愛ければ、人生楽しそうね」

「あ、あたし?」


「そう」


「……っか、なぁ?」



「先生とは、うまくいってる?」


「---っえ、えぇ!?」


「鷹司(たかつかさ)家なら、良く知ってるもの」
「あ、そう、だよね」
「パーティーで見かける度に姫のナイトみたいにくっついて離れないじゃない」
「そんな…っ、そんなこと恐れ多くって」
「なんで?好きなんでしょ?向こうも」

「………そう、なるのでしょうか」





病気か、ってくらいに真っ赤にうつむく彼女はとても嬉しそうで。
自分がすごく、惨めになる。



ハイセが、わかんないよ。
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