第3章 お嬢様、バイトする
あたしを気遣って、いつも優しく手加減してくれてるの、知ってる。
辛そうに耐えてる顔も、知ってる。
だから。
「いいよ。簡単には壊れないから」
もっともっと、近付きたい。
ハイセに、愛されたい。
あたししか見ないで。
過去にどんな女と体を繋げてきても、いいから。
どれだけの女抱いてても、我慢するから。
未来(これから)は、あたしだけを見て。
「………ご冗談。いつも途中で眠ってしまわれるでしょう」
「『それ』も、いい。ハイセ」
「?」
「誤魔化さないでいい。そうやって執事演じて、二重人格演じて、我慢してるの知ってるよ」
「………皇」
「うん、『お嬢様』じゃ、ない。ハイセの、『彼女』、でしょう?」
「………」
執事の仮面は、もういらない。
『ハイセ』は、ハイセだ。
「じゃぁ」
ぐ、と。
両足を胸へと押し付けられれば。
さらに奥へとハイセが入りこむ。
「遠慮、しないから」
「……っ」
「へばんなよ、皇」
「ッッァあっ、やぁそれっ、奥__っ」
「好きだろ?」
乾いた音に混ざって聞こえるのは、卑猥な水の音。
「おく……っ、も、それ以上ないからぁ……っ」
最奥へと入り込んでいるはずなのに、もっと奥めがけて、さらに腰を打ち込むハイセ。
「すっげ、聞こえる?やらしー音」
「……っ!!やだ…っ」
「じゃ、ないでしょう?お嬢様」
「……っ」
「せま…っ、言葉攻め萌えるタイプ?」
いきなりそこ、執事に戻んないでよ。
頭が混乱、する。
まるでふたりのハイセに愛されてるみたいで。
みたいで。
「ここ?」
「ひ…っ、ぁあっ」
「奥めっちゃ締まってんの、わかる?皇」
「ぁあっ、あんっ、やぁんっ、あ、あ、ぁぁあァっ」
「聞こえてる?声」
だめ。
気持ちいい。
だめじゃない。
だめ。
おかしくなる。