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溺愛執事の恋愛事情

第12章 溺愛執事の恋愛事情



「な、なんでもないわ!!」



わざとらしく顔を近付ければ。
顔ごと視線をはずす、愛しくかわいい婚約者。
窓から可愛らしい真っ赤な顔が、丸見えだ。


「な、なによ」


くすくすと笑っていれば。
たじろぎながらも視線はやっと、俺のそれとかち合って。


「かわいいな、と思って」


そう言葉にすれば。
さらに真っ赤になる表情。
どこまでも可愛らしくて。
ほんとに困る。




「社長」


運転席からそう短くかけられた言葉。
だけど。
彼女にとってはたぶん忘れられていた存在。
あからさまにまた顔を赤くして、俯いている。
ああほんと。
行動ひとつ。
かわいくて仕方ない。


「5分後に到着します」


「ああ、そうか。うん、ありがと」


俯いていた顔をあげて。
彼女が、不思議そうに俺を見る。


『どっか行くの?』と言いたげな瞳に、笑顔をひとつ。



「サプライズだよ」





今日は、特別な日。
1年でたった1日。
今日は。
俺が幼い彼女を。
『お嬢様』を、好きになった、日。
そして。






「…………教会?」



「おいで」





ポカン、と教会を見上げる彼女の手を取り足をガーデンへと、向ければ。




「え」



そこには彼女の、俺たちの良く見知った顔ぶれ。
全員総出で、俺たちを迎えてくれた。




「ハイセ?え、何、これなんで…………」



振り向いた彼女の瞳に浮かぶ涙。
もうとっくに気付いてるだろう?
日本から駆けつけてくれたのは、お互いの家族や友人たち。
泣きそうになりながらも、俺からの言葉を待つ彼女の前へと、跪いた。




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