第12章 溺愛執事の恋愛事情
なかでドクン、て、ハイセが脈打つのを、感じたあと。
しばらく緩く腰を動かし、て。
ゴロンて横になるのを、感じた。
隣から聞こえる荒い息遣い。
触れた肩から感じる、ハイセの体温。
体の怠さのせいにして。
そのままハイセに背中を向ける形で丸くなった。
「………寝てねーのバレてるし」
「!!?」
ぎし、って。
ベッドが軋んで。
ハイセの腕が体に巻き付いた。
けど。
寝た、フリ。
目が、開けらんない。
「耳まで真っ赤ですけど?『お嬢様』?」
耳たぶに指先の感触がして、ふにふにと弄ぶよう触れていくハイセの指先。
「………起きないなら、イタズラするけど」
「起きてるっ!今、起きた!!」
「…………」
これはもう、ほんと。
条件反射としか言いようがない。
ハイセの言葉は昔から変な魔力がある。
「〰️〰️〰️」
そろーっと、顔だけで振り向けば。
あたしの髪をくるくると指に巻き付けながら、ハイセがにこりと、笑った。
━━━━悪魔、降臨!!
「相変わらず面白いくらい思惑どーり反応しますねぇ、お嬢様?」
「………執事、じゃないって自分で言ったクセに」
ニヤニヤといやみったらしく笑うハイセに、再び背を向けて布団を頭から被る。
同じタイミングで、くるくると髪を遊ぶ指先が離れた。
「……ずっと、あんたお嬢様だったし。こんな風にキレイになってるなんて、思ってもなかったし。どんな顔していいか、わかんね。なんて、呼んでいいか」
「…………」
布団の上からハイセの腕があたしを包み込む。
どーしよう。
ハイセが、ハイセじゃ、ないっっっ!!
ううん。
なんか、なんか。
とんでもなくかわいいこと言ってない!?
ハイセさん。
いつも生意気で。
偉そうで。
上から目線で。
変態で。
どこいった?
ドキドキ ドキドキ
心臓が、うるさい。
こんなうるさいの、ハイセに絶対聞こえちゃう。
「………顔、見たい。出てきて、皇」
「〰️〰️」
ずるい。
ずるい。
そんな甘い声出すの、ずるい。