第2章 Lady GO or Stay?
「………」
ヤバい。
一気に背中あたりから寒気が……。
なんだろ、これ。
「きっとスペシャリストを揃えて楽しく毎日お勉強タイムですね」
毎日。
遅くまで。
「………ハイセ」
「はい」
お願いだから、いつもいつも笑顔で脅迫するの止めて頂けるかしら。
「………もういいわ」
寒すぎて、ペンを持つ手に力が入らないもの。
「顔色、お悪いですがご気分でも?」
「ええそうね。ちょっと横になろうかしら」
元凶は目の前の悪徳執事だけどね。
「それはいけません、すぐに病院へ連絡してお医者さまを……」
「ハイセ」
「はい」
「毎度毎度、飽きないの?」
「飽きる?何をでしょうか」
「もういいわ」
これをパワハラと言わずしてなんと言おう。
いやいや。
どちらかと云えばあたしが事業主。
彼は執事にすぎないはず。
おかしい。
絶対におかしいわ、これ。
「とりあえず病院へ連絡はしなくてけっこうよ」
頭の痛みに加えて。
目眩までしてきそうだから。
「そうですか。では、いかがいたします?」
「は?」
「Lady GO?orStay?」
楽しそうに瞳なんて爛々と輝いちゃってるし。
たぶん彼はあたしが選ぶ言葉なんか始めらわかってるはずなんだ。
それを敢えて。
こうしてパワハラもどきにいじめて、楽しんでる。
悪そうに細められた黒曜石が、すべてを語ってるもの。
もうこれしか、答えなんてないじゃない。