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溺愛執事の恋愛事情

第10章 お嬢様の一大決心




その日は。
朝から旦那様をはじめ皆が忙しなく。
バタバタとごたついていた。



「よろしいですかお嬢様。決して知らない人に着いていってはいけませんよ。あと絶対におひとりにはなられぬようくるぐれも………」
「わかったってば!!やめてよ朝から!あたし高校生!小学生じゃないのよ!!」


「今時の小学生はもっとしっかりなされておりますよお嬢様。小学生の皆様に失礼です」


「………どっちが失礼なのよ」



本日、校外学習。
クラス単位で学園の外へ赴き、労働により賃金を貰う、いわばバイトという名の社会学習。
全国の紳士淑女の通うこの学習ならではの、経営を学ぶ第一歩…………らしい。
最近様子が変だったのもあって、お休みするよう言っても聞くはずもなく。
嫌な予感の正体がなんなのか、胸に引っかかったまま彼女を送り出した1時間あまり。
急に旦那様の会社へ来るように、呼び出しがかかった。






「ああ、すまなかったねハイセ」
「………」



会社に到着するとすぐにロビーまで出迎えに来ていた秘書に連れられ社長室へ。
ノックをし中へと入れば。


会社の重役たち。
それから、両親の姿。


「?」


「ハイセ」
「はい、旦那様」
「この男は、知っているね?」


「!!」



雑誌の切り抜きらしい紙へと視線を送れば。
嫌でも思い出す、真っ黒い感情。
皇を乱暴した、あの男だ。



「彼はね、副社長の次男坊」
「え」
「ドラッグ所持で、逮捕された」





━━━━━!!




逮、捕?
ドラッグ?
副社長の、息子?
ああ、それで朝から………。
大企業の副社長の子息の失態。
退屈な世論の飛び付きそうな話題だ。
だけどこんな低俗な記事、いくらでも旦那様の耳に入る前に揉み消せたはず。
それを敢えてスキャンダルにした、とゆーことは。
副社長はもうすでに切られた……ってことか。


「ハイセ。君を呼んだのはね。……彼が、君に暴行されたと警察で証言してるんだよ」

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