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溺愛執事の恋愛事情

第9章 ふたりの境界線


とか言ってみたり。
さらっとけろっという僕に。
怪しげに視線を向けるのは、いくら胸をシーツで隠していても。
お尻から腰の魅惑的なラインが丸見えなかわいいお嬢様だ。
残念。
朝からいい眺めすぎて、起きるタイミングさえ逃したとゆーのに。



「さて、そろそろ仕事に戻りましょうか」
「ハイセ」


低く名前を呼んだその唇は、次の言葉を発することなく視線だけで睨む。





「なかなか、学習能力が着いてきたようですね。感心です」



いいこいいこ、と頭を撫でてやれば。
その手は不機嫌極まりなく振り払われた。
おかしいな。
昨日のかわいいお嬢様はどこへ消えた?



「パパに訴えてやる。給料泥棒」
「おや、そんな言葉どこで覚えてきたのでしょう」
「どこだっていいでしょ!!タヌキなんてしてないで仕事戻りなさいよ!」
「言ったでしょう?寝過ごしてしまいましたと」
「んなわけ、あるか」
「………お嬢様が使う言葉としてはいささか問題ありますね」
「問題なのはハイセの勤務態度でしょう?」
「僕のどこがです?」
「全部よ!!」




トントン



「お嬢様」


ビクン、としてドアへと視線を向ける彼女を見やる。
声の主は先ほどのメイドさんだ。
顔全体に動揺の色を塗りたぐり、俺を見やる彼女にケロリと微笑み人差し指を、立てた。
そのまま床に散らばっていた昨日の服たちを着込み、音を立てずに窓を開けると。



ベランダからそのまま庭へと、ダイブ、した。
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