第8章 溺愛執事の事情
熱い。
口の中、も。
体も。
触れたところが全て熱い。
ふたつの膨らみのその中心。
真っ赤に熟れた甘い香りの果実にかぶりつけば、半開きのまま閉じることの出来ない唇から、甘く漏れ出る吐息。
感じすぎて焦点の合わない視線を、それでも懸命にこちらを向ける皇、が。
愛しくて。
かわいくて。
もっともっと、感じさせたい。
俺で、いっぱいにしたい。
「や、だ……っ、はいせ、も、いい、からぁ……っ」
舌足らずに抜ける吐息が、脳を溶かす。
思考を、理性を。
根こそぎ奪う。
「はい、せ……っ」
「━━━━━っ!!」
理性も、思考も。
根こそぎ……。
「………っ」
「これ、欲しい……」
普段なら。
絶対にこんな風に求めたり、しない。
こんな蕩けた表情も。
恍惚の、表情も。
見ることなんて、ないのに。
「はい、せ」
「━━━━━皇」
先ほどからズボンの中で、ズクン、ズクン、と。
痛いくらいに、はちきれそうに。
熱く脈打ち滾るそれ。
ズボン越しに、皇の柔らかい掌が触れただけで。
クラクラする。
苦しくなる。
直接、触れたら……。
あの、程好く弾力のある壁に、埋め込んだら……。
「━━━お嬢様」
クラクラして窒息しそうになる意識を奮い立たせ。
下半身へと触れる彼女の右手を取る。
「ちゃんとほぐしてからでないと」
「大丈夫……っ、もう、平気だから……」
『だから、ちょーだい』
息を乱し、表情(かお)、で。
瞳、で。
全身で俺を欲しがる彼女を見たのはたぶん、初めてだ。
「はいせ、お願い……っ」
恍惚の表情に見惚れている間に。
彼女の指先はカチャカチャ、とベルトを外していく。
「皇っ」
━━━━だからっ、駄目なんだって!!
あわてて両手首を片手で拘束し、戸惑う彼女と一瞬視線を合わせてから。
「ぇ……?や、やだぁ…っ、や、めぇ…っ、それいやぁ」
剥き出しにしたその突起へと、舌を這わせた。