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偽物女優【恋プロ長編◆裏】

第4章 しがらみ *


「…………。」


「すまなかった、七神」


「俺が悪かった。だからこちらを向け」


「…………………。」

はぁ、と嘆息する。

湯に浸かりながら、むくれた顔をしている彼女。


「おまえは良くなかったのか?」

びく、と肩を震わせた彼女は、ようやくおもてを上げた。


「…………ったの」


「え?」


「恥ずかしかったの!」

おもてを隠そうとする掌は、指先を絡めて除けさせた。

ぽかぽかと身体を叩いてくる彼女を抱きしめる。


(おまえだけだ。

俺を喜ばせるのも、悲しませるのも………こんなにもかき乱すのも)

腕に閉じ込めたまま、思考に載せる。


額に唇で触れる。

腕に感じる温もりだけが、自分をここへ縛りつけるしがらみだった。




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