第13章 忍気呑声
三蔵は少しイラついていた。
衣月のようにストレートに物を言えない自分に。
『はげしっ…んっあぁん!!さんぞ…おこっ…てる?』
『別に…怒って…ねぇよ…っ!!』
三蔵は衣月が不安げに潤んだ瞳に見つめられてゾクッとした。
ヘラヘラとした顔か三蔵法師としての真っ直ぐな顔しか見たことがなかった。
衣月もこんな顔するんだなと思ったと同時に何故か興奮してしまったのだ。
『んっあぁん…イきそう…』
『俺もだ…うっ…くっ!!』
『あぁぁぁぁっん!!』
ほぼ同時に2人は絶頂した。
『ねぇ…三蔵…あのさ…』
『なんだ…』
それぞれタバコを吹かしつつ言った。
『たまには…言葉責めとかしてよ…』
『考えておく…』
『なにそれ…』
衣月は三蔵の言葉に拗ねたように言った。
『はぁ~…言っただろうが…余裕なくなっちまうんだって…』
『そんだけ…あたしが好きってことか〜』
『当たり前だろうが…好きでもねぇのに抱くわけねぇだろうが…お前は好きでもない男に抱かれてぇってのか?』
『んなわけないじゃんっ!!』
『だったら…不安になってんじゃねぇよ…』
『うん…』
衣月は不安だったのだ。
何も言わずに本能のままに自分を抱く三蔵。
自分はただの性欲処理の道具で好きだと言ってくれたのはその為だけの言葉だったのではないかと。
衣月は改めて三蔵が自分を愛してくれているのだと思った。
三蔵は衣月のストレートに物を言うのを羨ましく思えた。
今後も衣月を不安にさせてしまうのだろうと思うとめんどくさいと思いつつ…自分に少し腹が立った。