第11章 ウラ最~ケンカ~
『ねぇ、さっきからなんで怒ってるの?』
『………。』
『無視すんなっ!!言えやっ!!』
『………』
『はぁ~……』
最近の三蔵はいつもこんな感じ。
キスもしてこなければ抱きしめもしない。
『なによーもー!』
衣月はそろそろ限界だった。
今日で3日目だ。
『お前…俺に隠してることあるだろ。』
メガネを外して新聞を折りたたみながら三蔵はやっと口を開いた。
『………あることはあるけど…それで怒ってんの?』
衣月はドキッとした…衣月が隠していることと言えば、自分が光明の実の娘であること。
『分かってんならてめぇの口から説明しろ。』
『その前に誰から言われたわけ?まさか…烏哭…』
『そのまさかだ。』
『はぁ~……』
衣月はため息をつくと語りだした。
有天経文の守り人であった先代…煌央(こうおう)は共に三蔵法師としての修行を受けていた聖天経文の守り人である光明と修行中に恋に落ちた。
待覚はそれを黙認していたが、三蔵法師と2人がなったある日…
『光明……出来ちゃいました…』
『何がです?おイモさんならまだ出来てませんよ?』
『いや、そうじゃなくてー!子供です!』
『え?誰の?』
『あなたに決まってるじゃないですかっ!!』
『私の……子供……』
光明は最初は驚きすぎてボーッと考えていた。
2人は新しい命を喜んだ。
しかし、
『三蔵法師同士の色恋沙汰など…御法度!!』
と三仏神と神々たちは大激怒。
案の定…産まれた女の子は仮死状態。
煌央は女の子に衣月という名を与えると経文の力を使って生かした。
何度も何度も……
最終的には…体がボロボロになっていった。
最終的には…