第8章 神機妙算
『あのさ…紗烙と三蔵の関係を気にしてんなら…そんなんじゃないと思う…三蔵法師ってさ…いつも孤独なんだと思う…紗烙も…三蔵も…衣月も…』
悟空はどこか寂しそうに言った。
『でもよ…煌玄三蔵と玄奘三蔵って出来てるんだろ?』
波珊が不思議そうに言った。
『そうだけどさ…なんか分かんないけど…孤独なんだと思う…そういうのを話せる相手がいないから…それに…衣月と三蔵ってそういうのを話したがらないから…』
悟空はどこか納得いかないという様子で言った。
『恐らくだが…アイツらは三蔵法師としてではなく…男と女として付き合いがしたいからじゃねぇか?』
『ふーん…そういうのよくわかんねぇや…』
『そういえば…お前はどうしてここにいるんだ?』
『あーそうだった。トイレ探してたんだった。』
『トイレなら隣の隣を右に曲がったとこだ。』
『おう!ありがとな!』
悟空はそう言って急いで向かっていった。
『嫉妬…ですか?』
『お前は…『里白です。』』
『里白…俺は結局は三蔵法師という立場として同じ土俵に入れるアイツに嫉妬してたのかもな…従者失格だ。』
波珊はそう言って自嘲した。
『そうですかね?そんなことないと私は思いますよ?私も思ったことがあるんです。』
『何をだ?』
『私は衣月のように人に教えを説いたり諭すことは出来ません…だから、悟浄に諭して教えを説いたりする時がたまにありました。嫉妬しましたよ…私も悟浄を言葉で救えたら良かったのに…衣月は羨ましい…って…』
里白はそう言って悲しそうに微笑んだ。
『まぁ…俺は諦めきれねぇんだよな…』
『諦めなくていいと思いますよ?今は生きることだけが精一杯なんだと思うんです。いつか…必ずって思っていたら大丈夫ですよ。』
『まぁな…そうかもしれねぇな…』
里白の言葉に波珊はどこか嬉しそうに微笑んだ。