第7章 円鑿方枘
『私は洗濯物を取り込んできます!』
里白はそそくさと部屋を出ていった。
『あーもー!なんだってのっ!!』
悟浄は頭を掻きむしった。
里白にイラついているわけではない。
自分自身にイラついていた。
『待てよ!里白!』
悟浄は里白を追いかけていった。
『なんなんですかっ!!もう!せっかく…プレゼントまで買ってきたのに!!あーいうこと話して!』
里白は怒りながら洗濯物を取り込んでいた。
『里白…プレゼントってなに?』
『買ってきたけどあげません!』
『何怒ってんの?』
『だって…あんなこと話して…恥ずかしいじゃないですかっ!!それに…私みたいな女じゃ悟浄と釣り合わないじゃないですかっ!!』
『はぁ…そういう事…あのなぁ…俺は里白がいいの。釣り合う釣り合わねぇじゃねぇだろ?』
『だって…私は穢れてるんですっ!!稼ぐ為に何人もの男性に抱かれてきました…衣月みたいに綺麗な体じゃないっ!!っ!?』
悟浄は里白を抱きしめた。
『それ言ったらさ…俺だって穢れてる…寄ってきた女を何人も抱いたことだってある…里白の過去に何があっても俺はもう…里白しか見ねぇって決めたんだ。不安だったんだろ?ごめんな…気づけなくて…』
『違うんです…悟浄が謝らなくてもいいんです…私が言えなかったのが悪いんです…あの…プレゼント…』
里白がそう言うと悟浄は里白を離した。
悟浄が里白から箱を受け取って開けると…
ZIPPOが入っていた。
『ありがとな…大事に使わせてもらうわ。』
『はい…いつも使ってるのがですね…古くなってたから…プレゼントしたいなって…』
『それだけ俺の事見てくれてるってことだろ?そんなに可愛いことしてくれちゃってんの?』