第22章 約束
『あれ?衣月…寝てる…』
悟空が三蔵に抱きしめられている衣月をふと見て言った。
『安心したんだろ…ここ数日間…寝ずに仕事してすることばかり考えてやがるから俺も俺で…集中出来ん。ということで執務室を別にした。そういう理由があるなら言えばいいものを…1人で解決しようとする所は昔から変らんな…』
三蔵は呆れた様子だが衣月を優しく抱えて頭を撫でているその表情はとても穏やかだった。
『それで?どう止めるんです?』
里白が言った。
『即身仏の話をした奴の見当はついている。悟空、この部屋の扉を開けろ。』
『うん…』
悟空は三蔵の言葉が理解できなかったが、不機嫌そうなので素直に従って扉を開けた。
そこには1人の僧侶が立っていた。
この僧侶は三蔵が居ない間にこの寺院を取り仕切っていたらしい。
『やはり…そのような関係でしたか。なんと汚らわしい…三蔵法師というご身分のお方が…』
僧侶は三蔵に抱えられて眠っている衣月の様子を見て言った。
『人を愛することがそんなに不浄なことですか?』
八戒が静かに言った。
『当たり前です!!仏道に帰依する者としてそのようなものは絶つべきです!』
僧侶は喚き散らす。
『だったら…アナタのその感情さえも捨てなければいけませんね。仏道に帰依するものとして冷静にお話が出来ないのは如何なものかと。』
今度は里白が冷静に言う。
『貴女に何が分かると言うんです?分かったように言わないでください。早く、煌玄さまをコチラに。この寺院から不浄を取り払わねばなりません。煌玄さまは
これから修行に励まねばなりません。』
僧侶は軽蔑したように鼻で笑うと衣月の所にそう言って向かおうとする。