第22章 約束
あれから数ヶ月…里白は不思議な夢を見た。
『_____…なぜですか?アナタの女にしてくれるって約束したのに…____まで…どうして私を置いていってしまったんですか?』
桜の木の下でそう呟くように言う…誰か…
誰か…大切な人を失ったのだろうか?
なんだか…それが自分であるような気がしたが、里白にはそんな記憶などない。
『なんて…夢を見るんです。』
『ふーん…知らぬ恋人の夢か…』
里白は慶雲院に来ていた。
夢の事を衣月に相談に来たのだ。
『予知夢だとしたら、既に里白は悟浄と付き合ってるわけだから…ちょっと矛盾だし…考えられるのは…』
衣月は真面目な顔でそこで言いかけてタバコに火をつけた。
『続き言ってくださいよ…なんかモヤモヤするじゃないですか…』
なかなか言わない衣月に里白が言った。
『前世…』
『前世??』
衣月の言葉に信じ難いという様子で言う里白。
『うん。前世なら納得はいく。ただし、あまり深追いしないほうがいい。書物で読んだことがあるけど、前世で出来なかった事、失敗した事を今世で成し遂げる為に転生したって場合があるらしい。あるいは、大きな罪を犯して、神の住む世界には生まれることを禁じられたってのもある。』
衣月はいつになく真面目な顔で話終えると紫煙を燻らす。
『大きな罪…前世の私の想い人が罪を犯してしまった…なるほど…一体…何をしたんでしょうね。』
『さぁね…でも、こうやって会えたってのはもしかしたら、ウチらは前世で繋がってたのかもね。』