第18章 悪木盗泉
『慶雲院で預かることにする。』
めんどくさいという様子で三蔵が言った。
『ふざけんなっ!!誰が坊主になんかなるかよっ!』
『そうだ!!ふざけんなっ!!』
口々に男たちが言った。
『うるさいっ!!!!』
衣月の声で静まり返った。
『ふざけてんのはお前らだ。人を弄び、翻弄した。その罪は重い。寝言は寝てから言えば?罪人を飛龍へ乗せて送還しな。』
『『はいっ!!』』
衣月の言葉に女性集団は男たちを捕らえて連れていった。
『なんか、急展開すぎて…呆気ないですね。てか、いつの間に、あんな、集団いたんです?』
里白がシーンとなったアジトを見渡して言った。
『あー、あれはね、前から居たよ。三蔵法師になれなかった僧の集まり。でも、女に生まれたかった人達って行った方がいいかな?』
『え?どっからどう見ても女性達だったじゃないですかっ!!って!なんで三蔵は驚かないんです?』
衣月の言葉に里白が驚いたが、三蔵は驚いていない。
『あの寺はそういう輩が多いと先代から聞いた事があるからな。』
三蔵は平然と答えた。
『そう。周りから奇怪な目で見られ…何もかもめんどくさくなって出家しようにも普通の寺院にも馴染めず…そんな人達を師匠は受け入れた。〖どんな人でも平等であるべきなの。障害があってもどんな趣味嗜好、性別であってもね?だって同じ人でしょ?男子禁制とか女人禁制とかバカみたい!〗って師匠はよく言ってたから…』
衣月は思い出すかのように言った。
『1度だけ会ったことありますけど…衣月のように真っ直ぐな目をしている人だった記憶があります。私は決めました。悪い事にはもう、手を染めません。自分らしく…生きていきます!』
里白は清々しい気持ちで心の中がいっぱいで自然と笑みが零れていた。