第15章 琴瑟相和
森の中を走るジープ。
「で?空気と化してた独角兕はどこいたわけ?」
いつの間にかいる独角兕に思い出したかのように衣月が言った。
独角兕はあの騒動が終わった辺りにふらっと現れたのだ。
「昔…ここら辺に住んでいたダチを訪ねてたんだ。もう、既に家は誰も住んでなくてボロボロだった…お前らが倒した妖怪の中にいたとしても、怨みはしねぇよ…アイツ…言ってたからな…自分が暴走したら殺してくれって…出来ればイケメンか美女にってな。」
独角兕は悲しそうに言った。
「なんじゃそりゃ…てかさ〜平和すぎて違和感…平和ってこんな感じなんだね。」
「そうですね…不思議な感じしますよね。」
衣月の言葉に里白が同意する。
「ただ、帰るだけってのもつまらないですよね。あ!そうだ。衣月のいたお寺ってこの近くですよね?」
運転していた八戒が突然、こんな事を言い始めた。
「そうだけど、行ってどうすんの?」
衣月はタバコに火をつけながら言った。
「どうしましょうかねぇ?」
「なんにも考えてないんかい!!」
八戒の言葉に衣月が突っ込む。
「行くのはいいけどよ…妖怪の俺が行っても大丈夫なのか?」
独角兕は困ったような様子で言った。
「問題ないよ。うちの寺はそういうのに理解があるからさ。ただね…1個問題がね……」
衣月はあの時に見せた無の状態に一瞬、なった気がした。