• テキストサイズ

innocence

第2章 きみがため


緊急連絡を受け、それぞれの担当科で働いていた医師達は、一様に地下に集まった。
治療器具の準備は整っている。あとは患者の到着を待つばかりだ。
その時、入り口の白い扉が音を立てて開いた。
「大我さん!患者の容態は!?」
「一刻の猶予もねぇ。早いとこバグスターの分離を……なんだ坊っちゃん?腑抜けたツラしてんな」
抱えられた女性を見た飛彩は、彼らしくもなく目をまん丸にしていた。
「郷未……?」
「なになに?大先生新しい彼女できたの?」
そこへゲーマドライバーを携えた監察医・九条貴利矢が茶々を入れてくる。
飛彩は何を思ったのか、一旦口ごもった。
「……いや、ただの友人同士だ。互いの家庭の事情で恋仲ということになっているが……」
それから飛彩は、郷未の身分を明かした。すると、永夢がいち早く反応した。
「やっぱり!僕、前に彼女のことテレビで見たことがあったんです。さっき差し入れをくださった時は元気そうだったのに……」
「平和ボケでもしているのか?小児科医。前触れもなく末期症状を発症することもある。ゲーム病の恐ろしさは、誰より俺たちが一番知ってるはずだ」
言いながら、飛彩はゲーマドライバーに専用ガシャットをセットした。

『タドルクエスト!』
重苦しい空気を切り裂くような、軽快な音声が響き渡る。
「……変身」
『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!アイム ア カメンライダー!』

閃光が走り、先ほどまで飛彩がいた場所には、甲冑を着込んだずんぐりむっくりの騎士、仮面ライダーブレイブが立っていた。
「これより、バグスター切除手術を開始する。術式レベル1、患者の身体からバグスターを分離」
「え……ええ〜!?待って飛彩、ここで戦うの!?せめて外におびき出すとかしようよ〜!!」
堂々と室内で戦おうとする短足の騎士に、看護師・仮野明日那の口調は、本来のポッピーピポパポのものに戻ってしまう。
人命がかかっているとはいえ、検査機器の数々もバカにならない値段である。衛生省の一員として、焦るのは当然だった。
/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp