第1章 出会い
───昨年4月の春
夏海「今日から高校2年生か...」
桜の花びらが舞う学校の正門前に、私は立っている。
夏海「クラス替え、そんなに好きじゃないんだよな...」
大きな看板に、新しいクラスの名簿がずらりと貼ってあった。私はその中から自分の名前を探す。
すると、隣からいつもの聞き慣れた声がした。
美香「夏海ー!今年も同じクラスだよ!ねぇねぇ!聞いてる!?」
夏海「はいはい聞いてるよ、私の楽しみが美香のせいでなくなっちゃったよ」
美香「どうせ『どのクラスでも変わんない』とか言うんでしょー」
夏海「なっ...」
美香「ほら図星!何年の付き合いだと思ってるの?」
美香は私の幼なじみ。幼稚園の頃からずっと仲が良くて、今でもよく一緒にいる。むしろ美香から絡んでくる。
でも、嫌な気はしない。美香といると落ち着くんだ。今年も同じクラスでよかった。
美香「ほんっと夏海って、そういうところ変わらないよね。てかまた男っぽくなってない!?」
夏海「好きでなってないっつーの!」
そう、私は男っぽい。
自覚はないのだが、周りからみると男っぽいらしい。確かに髪はショートだし、声は元々少し低めだし、あんまり女子っぽいもの持ってないし...
でも運動が得意なわけでもない。運動は人並み、女子の平均ぐらいだ。
いつからこうなったっけ...