第1章 始まり
PM6:13。
大学からの移動中、鳴るスマホ。
イヤフォンを片方外しながら画面を確認すれば『仕事』の依頼。
早くから依頼が来ているらしく、移動時間や準備の時間を考えれば急がなければいけなくて、スマホを鞄に入れると私は小走りで走り出す。
駅前から徒歩5分。
築数十年が経ったマンションの一室。
インターフォンも押さずに入ればそこにはロッカーとソファ、そして数名の女性。
汗を流すためにシャワールームに入り新しい下着と服に着替える。
そして、ロッカーに戻るとメガネからカラーコンタクトにチェンジしメイクを直した。
いつもより装飾が多く可愛い下着。
胸元が大きく開いたオフショルダーのミニワンピースにベージュのパンティストッキング。
普段より少し濃い目のメイク。
シュシュで軽く髪を束ねると、仕事道具の入ったポーチを鞄に入れ、店長に声をかけた。
「店長、準備できたのでいって来ます。」
「はいよ。場所はわかってるな?」
「駅前待ち合わせですよね?わかってますよ。」
仕事用に買ったエナメルのパンプスを履くと、私は小走りに外に走り出した。
片倉 ゆいな。
職業、学生兼、デリヘル嬢。
私、デリヘル嬢やってます。