第20章 卒業式
俺と翔ちゃんの思い出が一体どう違うのか、もうちょっと詳しく聞いてみたくて。
翔ちゃんが話してくれるのをじっと待ってみたけど、翔ちゃんは目を泳がせながらあーとかうーとか意味のない言葉を発するだけで。
そんな言い難いことなの?
同じ事柄でも、立場が変われば見え方も変わるのは当たり前だ。
俺にとっては恋に落ちたっていう一生忘れられない思い出だけど。
当時の翔ちゃんにとっては単なる人助けでしかなくて、そんなに記憶に残ってないとか…そういう感じかな?
「あの…そんなに話したくないことなら、無理に話さなくて大丈夫だよ…?」
「話したくないって言うか…」
翔ちゃんがあまりにも話しにくそうで。
こんなに困らせてまで聞きたい訳じゃないから、もういいよって言ったら翔ちゃんの眉毛が情けなくへにょっと下がった。
「俺の話を聞いたら、カズの綺麗な思い出を壊しちゃうかもしれない…それどころか幻滅してドン引きされて、そのまま嫌われるかもしれない…」
翔ちゃんはものすごく悲壮な顔をしてて。
え?そんな内容の話なの?
そこまで言われると聞くのがちょっとこわくなるんだけど…
でも一つだけ言えるのは。
「何を聞いても、例えドン引くことがあったとしても、俺が翔ちゃんを嫌うなんて絶対ないよ!」
それだけは絶対だ。
断言する。
翔ちゃんを嫌いになるなんて絶対ない!!