第20章 卒業式
「翔ちゃん、歌だけじゃなくてピアノも上手でびっくりしたな」
「子どもの時に習ってたってだけだよ///」
翔ちゃんの歌声とピアノの音色に聞き惚れた音楽室。
「料理が出来ないのがバレちゃって恥ずかしかったな…」
「俺は完璧だと思ってた翔ちゃんにも苦手なことがあるって分かって安心したよ?」
調理実習で大騒ぎした家庭科室。
「俺たち美術専攻でも美術部員でもないのに、めちゃくちゃ美術室に通ったよね」
「智が入り浸りだったからね」
智の絵を見るために通った美術室。
「カズも智くんも3年間毎日同じパン食べてたよね」
「だって美味しかったんだもん」
智と毎日パンを買いに行ってた購買。
いつも戦場みたいに混んでた購買も今日は閉まってて誰もいない。
「よくオマケももらってたね」
「おばちゃんが優しかったから…」
購買のおばちゃんは本当に優しくて。
オマケをくれたり、授業とかで出遅れた時もこっそり取っておいてくれたりして。
最後に買いに行った日には、卒業祝いだよってたくさんのパンをくれて。
もう顔が見れなくなるなんて寂しいわって泣いてくれた。
俺たちももらい泣きしちゃって、なかなか戻らない俺たちを迎えに来た翔ちゃんや潤くんに心配掛けちゃったっけ。