第1章 大好きな白
葵「―――――っ」
??「葵様あと少しでございます」
葵は産気づいており、
部屋で新しい命を、
今まさにこの世に生み出そうとしていた。
謙信「おい。葵は大丈夫なのか」
その夫である謙信はというと、
男禁制ということで城主や夫といえど、
部屋に入ることを許されず、
襖の向こうで声を荒げていた。
信玄「謙信。落ち着け」
そして部屋に今にも乗り込んでいきそうな謙信を、
信玄ほか春日山の仲間たちは宥めていた。
そんなときだった。
??「おぎゃあおぎゃあ」
謙信「!!」
一つの産声が謙信たちの耳に届いた。
謙信「葵!!」
いてもたってもいられず謙信は襖を開けた。
??「おめでとうございます。姫様でございます」
葵の腕に一つの小さな命が抱かれていた。