第39章 謎は湯煙に消える(武田信玄)
ある日の春日山の信玄の部屋にて
佐助「信玄様」
信玄「佐助か・・・天女だったらよかったんだがな」
佐助「すみません忍さんじゃなくて」
信玄「いや冗談だ。
ところで何か用か?」
佐助は信玄の言葉にあきれつつも答え、
信玄もそれに悪びれもせずに返答をする。
佐助「温泉に行かれたと聞きましたが」
信玄「ああ隠し湯に忍とな」
佐助「隠し湯ですか・・・なんだかわくわくしますね」
歴史マニアとしては五百年後でも知られる、
信玄の隠し湯という言葉に佐助は好奇心を刺激された。
信玄「姫が身体が辛そうだと、
女中からきいてな。
俺の隠し湯で癒そうかと思ったんだが・・・
お湯で濡れた天女は俺には毒すぎたな・・・」
佐助「信玄様・・・くれぐれもほどほどに」
佐助はためいきをつき、
信玄の言葉にそっと苦言を呈すだけだった。
佐助「(そもそも忍さんの身体が辛い原因、
信玄様なんだけど・・・
信玄様は気づいていらっしゃらないのだろうか)」
などと佐助がそう思っていたことは、
佐助のみぞ知ることであった。
おしまい